【2024年版】物流倉庫で活躍するロボットの最新トレンドを解説!

COLUMN(搬送自動化)

物流現場のロボットの2024年最新トレンド・導入事例・未来の展望と課題について解説します。
「自社の物流倉庫を自動化・ロボット化したいが、導入時のイメージがわかない・導入時の改善例が知りたい」という方は、ぜひ読んでみてください。

中長期的な労働人口の減少が続く物流業界において、人手不足を解決するソリューションとなりうるのが、物流倉庫のロボット化です。
特に2024年から、物流業界においては労働時間の上限規制がかかることで、トラックドライバーが不足する「2024問題」が物流現場や消費者に影響を与えると言われています。業界の人手不足の対策となりうる、物流現場のロボット化について考えるいい機会ではないでしょうか。

本記事では次の内容について、わかりやすく解説します。

・拡大する物流ロボットの市場と、物流業界におけるロボットの注目度
・2024年の物流倉庫ロボットの最新トレンド
・物流倉庫ロボットの具体的な導入事例
・物流ロボットの将来の展望と課題

「自社の物流倉庫を自動化・ロボット化したいが、どんな方法があるのか分からない」「物流現場において、他社はどんなロボットを導入し、どのような効果をあげているのだろうか」こんな悩みを抱えている方、物流ロボットの導入検討中の方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

物流ロボットの現状

出展:Amazon Robotics

物流の現場では、EC市場の拡大のなかで、通販商品の多品種・多頻度・小口配送を短いリードタイムで対応する必要性があり、業務の複雑さ・迅速さが要求されています。
そのため、物流業界ではAGV(無人搬送車)などを活用した物流業務の自動化が注目されています。

物流ロボットの市場規模

富士経済が2022年12月に発表したプレスリリースによると、次世代物流システム・サービス市場は拡大傾向にあることがわかります。
同調査によると、次世代物流システムのロボティクス・オートメーション市場(日本市場+日系メーカー海外売上)は、2022年見込で475億円。これは2021年比で116.1%の増加となります。さらに、同市場の2030年予測は1,441億円となり、2021年比で約3.5倍です。
参考文献:次世代物流システム・サービス市場を調査 | プレスリリース | 富士経済グループ

物流業界におけるロボットの注目度

ロジザード株式会社は2022年8月9日に「物流ロボット・物流DXに関するアンケート」を公開しました。同アンケートによると、「物流ロボットを導入する場合、いつ頃を目指しますか。」という質問に対して、「3年以内」が21.7%、「年内」が5.8%、「5年以内」が3.5%、「10年以内」が1.0%という結果でした。
回答者の約3割が、物流ロボットの導入を目指すと回答しています。
参考文献:物流ロボット・物流DXに関するアンケート調査:物流ロボット導入を検討中の企業、86.1%が「3年以内」の導入を目指す

また、米Gartner(ガートナー)は、2028年までに大企業の50%が倉庫や製造現場に何らかの物流スマートロボットを導入すると予測しています。
参考文献:The Future of Robotics: Orchestrating the Heterogeneous Robot Fleet

これらのデータからも、物流現場や倉庫のロボット化は注目されており、中長期的に大きなトレンドになっているといえます。

2024年の物流ロボットの最新トレンド

出展:RENATUS ROBOTICS

ここでは、2024年1月現在の物流ロボットの最新トレンドを紹介します。

モバイルロボット(AGV/AMR)

モバイルロボット(AGV/AMR)とは

モバイルロボットとは、無人で荷物を搬送・運搬をする移動ロボットです。モバイルロボットはAGV(Automated Guided Vehicle)やAMR(Autonomus Mobile Robot)と呼ばれることがあります。
AGVとAMRの違いですが、AGVは決まった経路の往復しかできない自動搬送台車で、AMRは自分で搬送ルートを考えて柔軟に動く自律ロボット台車という違いがあります。しかし、近年はAMRのように自律的に動く移動ロボットもAGVと呼ばれたりすることがあり、両者を明確に区別することは少なくなっています。

トレンド:AIを搭載し、搬送ルートを最適化

近年のAGV/AMRは、AIを搭載してより賢く自動化ができるという製品が出てきています。
たとえば、HIKROBOT(ハイクロボット)社のAGVは、AIによって配送ルートを最適化しています。同社によると、各々のロボットは商品を取りに行くための最適なルートを自分で考えて動作します。
また同社のロボットは、ビッグデータを使って、棚の配置も効率がいい場所に置きます。流動性の高い棚は移動距離が短くなるよう倉庫の手前に、流動性の低い棚は倉庫の奥に保管されるように行動します。

自動倉庫ロボット

自動倉庫ロボットとは

自動で倉庫内の荷物を出し入れするロボットシステムで、倉庫全体がロボット化されています。
自動倉庫ロボットは、ロボットの搬送の仕方によって大きく2つに分類されています。ひとつめは、倉庫内に詰まったコンテナをロボットがひとつずつピッキングする自動倉庫タイプです。ふたつめは、モバイルロボットが棚を運んで作業者の前に来て、作業者が棚の中から該当する荷物をピッキングするGTP(Goods To Person)タイプです。

トレンド:自動倉庫新興メーカーの採用事例が増える

自動倉庫ロボットシステムの新興メーカーが、物流センターへの採用を増やしています。
株式会社イー・ロジットは、埼玉のフルフィルメントセンターにおいて、RENATUS ROBOTICSの自動倉庫システム「RENATUS」を導入しています。
RENATUS ROBOTICSは、2022年設立のスタートアップです。同社の「RENATUS」は、汎用コンテナを使っており、高い入出庫能力・拡張性に加えて安価という特徴を持っています。
参考文献:【自動倉庫システム「RENATUS」】2023年12月に埼玉草加フルフィルメントセンターにて工事を開始

また別の事例として、日本出版販売は、2024年秋に新設する物流拠点でラピュタロボティクスの自動倉庫「ラピュタASRS」を導入すると発表しました。
ラピュタロボティクスはもともと物流倉庫の搬送を自動化するモバイルロボットを開発している企業ですが、2023年に自動倉庫ロボットを発売しました。同社の「ラピュタASRS」は、比較的低コストで、導入期間が短いことが特長です。倉庫の枠組みにネジなどを必要としない軽くて丈夫な部材を使うことで、初期費用を抑えることができます。
参考文献:【日販】2024年秋に新設する物流拠点 自動倉庫「ラピュタASRS」導入予定、ロボットソリューションで物流効率化

物流ロボットの導入事例

ここでは、物流ロボットの導入事例を紹介します。

事例1:工具・日用品販売会社の物流倉庫をモバイルロボットで自動化

L&S Engineersは、イギリス最大の工具・日用品のEC会社です。同社は拡大する取り引き数に対応するため、自社の物流倉庫をモバイルロボットで自動化しています。
同社が採用したのはHIKROBOT社のモバイルロボットです。同社の倉庫には50,000個のビン(商品を格納するコンテナ)、650個の棚があり、40台のロボットが稼働しています。
モバイルロボットは、棚を作業者のところに運び、作業者が棚の中に入ってある荷物をピックします。倉庫マネージャーによると、ロボットで従来の2倍の数のオーダーを裁けるようになったとのことです。
モバイルロボットが棚を持ってくると、作業者の上方に設置されたライトが商品を照らします。作業者は棚のどの商品を取ればよいか分かりやすくなり、商品ピック時のミスを半分に低減できたそうです。

日雑品、工具関連でのAMR導入事例1

事例2:通販事業大手会社のロジスティクスセンターにGTPロボットを導入

通販事業大手のベルーナは、2023年8月に解説したロジスティクスセンターの新棟にGTPタイプのロボットを導入しました。
同社の物流拠点では、100台超のロボットが従業員のところまで商品を運んでいます。従業員が商品をピックし、ベルトコンベヤーで搬送スペースに送ります。1人当たりの作業時間は約20%短くなったとのことです。
参考文献:首都圏物流施設で搬送ロボット導入進む ヒトの代わりに

多種多様な業界で採用されている物流ロボット

物流ロボットは、郵便業界、アパレル業界などさまざまな業界の採用実績があり、倉庫の作業効率アップに貢献しています。その他の事例はこちらも参考にしてください。

将来の展望と課題

ここでは、物流ロボットの将来の展望と課題について解説します。

将来の展望:ロボットの進化により、効率向上

物流ロボットは採用事例が広がり、その有効性が実証されています。今後は、物流現場でのフィードバックを受けてロボットが進化し、より効率が良くなることが予想されます。

・AIと制御の進化により、ロボットの運行ルートはより効率化し、商品が倉庫から出荷されるスピードが上がる

・ロボットのハードウェアの故障が少なくなり、ロボットの稼働率が上がる。

・バッテリー技術の進歩により、ロボットの稼働率が上がる。

ロボットの進化によって、物流現場での採用メリットが大きくなり、比較的小規模な倉庫においても適用可能なケースが増えるでしょう。

課題1:ロボットの価格

企業が物流ロボットの新規導入に消極的になる理由として、ロボットの価格が挙げられます。
LOGISTICS TODAYは物流企業を中心とする読者に対してアンケートを実施しました。44.8%の回答者が「物流ロボットを導入する具体的な予定や可能性がない」と回答し、その理由として「導入に伴う初期コストが高いから」が37.8%、「維持管理費用が高いから」が33.2%に上りました。
ロボットそのものや、在庫管理システムとの連携費用、倉庫業務の一連の見直しによるコストは大きく、現状はある程度大規模な物流企業での採用が中心であるといえます。
参考文献:物流ロボ導入進むも半数が消極的、理由は「コスト」

課題2:自社でのロボットの導入の仕方がわからない

「導入したい物流ロボットはなんとなくイメージできたけど、どこの会社のロボットを選べばいいのかわからない」「ロボットの導入後の保守までサポートしてもらえると安心だ」

はじめてロボットを導入するユーザー様は、このような不安があると思います。
物流現場で活躍するモバイルロボットは海外製が多く、サポートに不安があるかもしれません。
Phoxterは、物流ロボットを使いたいお客様の課題を見つけ、それを改善できるシステムの提案から保守まで行っています。
物流ロボットを導入したいが自社だけで進めるのに不安があれば、Phoxterにご相談ください。
自動化工程に詳しいメンバーが、サポートさせていただきます。

まとめ

画像:photoAC

この記事では「物流ロボットの市場、2024年の物流倉庫ロボットの最新トレンド、具体的な導入事例、将来の展望・課題」について解説しました。
物流現場におけるロボット化は大きなトレンドで、大規模な物流センターを中心として、今後はその適用範囲が広がっていくと考えています。
倉庫のロボット化で処理できる荷物の数が増えることは、現場で実証されています。
「物流ロボットで自社の倉庫を自動化したいが、自社だけで進めるのは不安」このような悩みをお持ちの方は、ぜひPhoxterにご相談ください。貴社に最も合う自動化の提案をし、ロボット導入のサポートをさせていただきます。