外観検査には照明の種類選定が重要!!作業効率をUPしたい方におすすめ

COLUMN(外観検査自動化)

外観検査は製品の品質を確保するために欠かせない作業です。照明は外観検査の精度を決める重要な要素の一つとなります。目視による外観検査や機械による自動外観検査、それぞれに最適な照明が必要とされます。照明は光源や形状、照度、波長などさまざまな要素がありますが、選定には注意が必要です。さらに、外観検査での照明の当て方など照明設備の設定にも工夫が必要です。今回は外観検査に使用する照明の重要性や選定方法、注意すべきポイントについて詳しく解説していきます。本記事を読んで、効率的な外観検査の照明環境へ改善していきましょう。

外観検査に照明を使用する理由

外観検査において照明を使用することは重要です。適切な照明の導入は、検査の精度や効率を向上させる要素となるためです。外観検査では、製品や部品の微細な特徴や欠陥を視覚的に捉えることが求められるため、良好な照明環境が不可欠です。以下に、目視と機械の外観検査における照明の利用についてそれぞれ説明します。

目視による外観検査の場合

目視による外観検査では、作業員が製品や部品を直接確認し、品質や不良を判断します。この際、適切な照明がなければ、微細な傷や表面の不均一性が見逃される可能性があります。良好な照明環境は、検査対象を明確に視覚化し、検査員が製品の細部まで注意を払えるようにします。特に製品の表面状態や色彩の詳細な確認には適切な照明が欠かせません。明るさや色の調整が可能な照明を使用することで、検査精度を向上させることができます。

機械による自動外観検査の場合

機械による自動外観検査でも、適切な照明の利用は不可欠です。センサーやカメラを使用して製品をスキャンする際、均一で適切な明るさの照明がなければ、検出されるデータが不正確になる可能性があります。照明の質や方向を適切に調整することで、機械が製品の表面や形状を正確に捉えられるようになります。これにより、機械学習や画像処理でより信頼性の高い結果を生みだし、自動検査の精度を向上させます。照明の適切な利用は、自動外観検査においても品質管理の鍵となります。

画像処理による外観検査において照明の重要性とは?

画像処理における外観検査では、照明の重要性は極めて高いです。適切な照明条件が整っていないと、対象物の表面や構造が明確にならず、検査の精度が低下します。良好な照明設定であれば、不均一な表面や微細な欠陥を視覚的に浮かび上がらせることができます。したがって、カメラがより鮮明で高品質な画像を取得し、その後の画像処理や解析を実行するため、検査の精度が向上します。それによりさらに、検査結果の信頼性が確保され、生産性を向上させることに繋がります。照明は画像処理における外観検査において不可欠な要素であるため、適切な照明設計と管理をしていくようにしましょう。

外観検査に使用する照明の種類選定

外観検査において適切な照明を選定することは、製品や部品の品質を正確に評価するために重要です。以下では、照明の光源、形状、照度、および波長(色)について、それぞれの選定ポイントを説明します。

照明の光源

光源の種類は大きくわけて白熱電球とLEDがあります。外観検査においては白熱電球からLEDの採用が主流になっていますが、ここではそれぞれの光源の特徴を説明します。

白熱電球

フィラメントに電流を流し、発熱することで光を発する光源です。製品の表面を柔らかく照らし、自然な色合いを再現します。しかし、光源が発熱してしまうため、熱に弱い製品の外観検査には向いていません。

LED

LEDは省エネで長寿命な光源であり、さまざまな波長(色)や明るさが利用できます。また、点灯の応答が良い、形状のバリエーションが多いなどのメリットがあり、外観検査において広く採用されています。

照明の形状

照明の形状によって製品の照らされ方が変わります。

リング型

出典:オプテックス・エフエー株式会社

リング型はフロント照明の中では最も一般的な照明となります。目やカメラと同心状に均一な光を製品に照射します。

バー型

出典:オプテックス・エフエー株式会社

バー型の照明は製品の特定の部分を強調するような一方向の光を照射します。長尺の製品やエッジなど、特定の方向をもった外観不良の検査に効果的です。

角型

出典:オプテックス・エフエー株式会社

角型の照明は特定の角度から間接的に製品に光を照射する際に使用します。複雑な形状の検査に適しています。

ドーム型

出典:オプテックス・エフエー株式会社

ドーム型の照明は全方向に光を放射し、製品全体を均等に照らします。大きい製品や金属やラベルなどハレーションを起こし易い製品の表面を確認する際に使用されます。

フラット型

出典:オプテックス・エフエー株式会社

フラット型の照明は平面上にLEDを配置した照明です。特にバックライトとして使用されることが多いです。

照明の照度

照明の照度(明るさ)は外観検査の作業対象によって選択すると良いです。
JISでも工場での作業内容と照度の基準が設けられています。

(引用元: JIS Z9110-1979  5.4工場 表10)

粗い視野作業

包装や荷造りなどの粗い視作業のばあいには照度100~200lxが必要です。
しかし、外観検査自体はこちらの視作業には該当しません。

普通の視野作業

一般的な製造工場での外観検査では500lxが基準となります。

細かい視野作業

精密機械、電子部品の製造、印刷工場の極めて細かい検査は1500lx、繊維工場での細かい検査作業では750lxと基準が定められています。

照明の波長(色)

外観検査において、照明の波長(色)も重要な要素です。異なる波長の光は異なる色を持ち、特定の色が製品や部品の特定の特徴を浮かび上がらせる役割を果たします。

外観検査での照明の当て方

外観検査では適切な照明の当て方も重要です。検査対象の表面の状態、ハレーションの発生、影になる形状の有無などから検査対象に適した照明方法を選択する必要があります。

反射照明

反射照明は、光を被検査物体の表面に当て、反射させる方法です。これにより、表面の凹凸や傷などがよりはっきりと見えるようになります。反射照明は外観検査で傷や欠陥を検査する一般的な方法です。

透過照明

透過照明は光を被検査物体の裏側から透過させる方法です。この技術を使用することで、透明な物体や薄い材料の検査が可能になります。透過照明は内部の欠陥や異常を検出するのに優れており、医療機器や薄膜製品の検査に適しています。

同軸落射照明

同軸落射照明は、光源の光をハーフミラーに反射させて被検査物体に直接垂直に照射する光軸とカメラの光軸を一致させる方法です。この照明法は、表面の光沢や組織の検査に適しています。

照明を使用した外観検査で注意すること

外観検査において照明を使用する際には、いくつかの重要なポイントに注意することが必要です。これにより正確で効率的な外観検査が行えます。

作業効率が落ちないか?

目視で外観検査をする場合、照明の適切な明るさとコントラストを確保しながら、作業効率が低下しないように注意が必要です。眩しすぎる照明や対象物が見えづらい照明は作業者の疲労や作業の遅れを引き起こす可能性があるためです。

反射していないか?(ハレーション)

照明によって生じる反射(ハレーション)にも留意する必要があります。反射によって正確な検査が妨げられるため、適切な照明の配置や調整が求められます。

影のでき方

物体の形状や照明の位置によって生じる影は、外観検査の正確性に影響を与える可能性があります。影が不適切な位置にできないように、照明の配置を検討することが重要です。

演色性(色)

製品の色が正確に再現されることも外観検査で重要です。照明の波長(色)が製品の色彩を変化させないよう、照明の波長を選択して、演色性が確保された状態で検査をしましょう。

外観検査の照明にLEDを使用するメリット

LED照明を外観検査に活用することにはさまざまな利点があります。

低消費電力

LED照明は白熱電球など従来の照明に比べて低消費電力であるため、エネルギーの効率的な利用が可能です。これにより、ランニングコストを削減しつつ、環境への負荷も軽減できます。

波長(色)を選択できる

LEDは幅広い波長での照明が可能であり、特定の波長を選択して使用することができます。これにより、検査対象の材料や製品に最適な波長(色)を選択し、欠陥や異常をより鮮明に視認することができます。

放射熱が少ない

LEDは放射熱が少ないため、検査対象に対して余分な熱を与えず、照明の熱による製品への影響を最小限に抑えることができます。特に熱に敏感な製品や材料の外観検査において、高い精度と安全性が確保されます。

長寿命

LEDは一般的に長寿命であり、数万時間の稼働時間が可能です。そのため、交換やメンテナンスの頻度が低く、検査プロセスの中断を最小限に抑えることができます。また、買い替えの頻度が少ないため、ランニングコストも抑えることが可能です。

制御性が高い

LED照明はデジタル制御に適しており、明るさや色温度などを容易に調整できます。そのため、異なる対象物や検査条件に応じて適切な照明に切り替えることも可能になります。

即時点灯

LEDの即時点灯性は、電源が投入されるとすぐに点灯する特性があります。LEDは白熱電球のように暖まる時間を必要としません。このため、瞬時に照明が必要な状況や、点灯のたびに待ち時間を省きたい外観検査に向いています。

まとめ

外観検査は製造業や品質管理において欠かせないプロセスです。その中で適切な照明の条件の設定をすることで、不良品の発見の精度や検査作業の効率化を向上させることが可能です。また、近年では低消費電力、波長の選択、放射熱の少なさなどのメリットがあることから、照明にはLEDが使用されてきています。そのような状況を把握しながら、外観検査の項目にあった照明設備を整備していくと良いでしょう。Phoxterでは外観検査の自動化を推進するためのソリューションをご提案する中で、照明器具の選定もご提案ができる体制を用意しております。外観検査における適切な照明選定や照明設備の設計などお困りごとがありましたら、Phoxterまでお問合せ下さい。